ハザードマップポータルサイトは自治体で作成した様々なハザードマップを集約して、見やすくかつアクセスでしやすくしたサイトです。「重ねるハザードマップ」と「わがまちハザードマップ」の2つに分かれています。使い方の詳細はサイトに説明がありますので、ここではサイトの概要と注意点について触れたいと思います。
「重ねるハザードマップ」は洪水・土砂災害・高潮・津波のリスク情報、道路防災情報、土地の特徴・成り立ちなどを地図や写真に自由に重ねて表示できます。洪水・土砂災害・高潮・津波のリスク情報を全国を俯瞰してシームレスに見ることができるのがとても良いです。危険度をみたい地点にマウスを合わせてクリックするとその地点の予測値の評価を具体的に表示してくれます。ですので、広域的なところから局所的なところまで、地域の自然災害リスクを把握するのに非常に便利なツールとなります。
注意点としては、当たり前なのですがハザードマップがインターネットに公開されていないところや未整備のところは危険度が表示されないということです。例えば、現時点(2021年5月)では東京湾において東京都、千葉県は高潮の予測値が表示されるのですが神奈川県では表示されません。一方、津波の予測値は神奈川県と千葉県で表示されますが、東京都では表示されません。都道府県によって全く表示されていないところがあれば、それは危険度が低いというよりは未整備である可能性が高いです。また、洪水・高潮・津波の予測値は想定最大規模の予測値ですので、想定される平均的なレベルよりも大きな予測値であることを頭に入れときましょう。
「わがまちハザードマップ」は、ハザードマップを見たい市区町村を検索することで当該市区町村のハザードマップのページに誘導していくれるサイトです。ハザードの種類としては以下のものがあります。
水害、斜面関連:洪水、内水氾濫、ため池、高潮、津波、土砂災害、火山
地震、地盤、建物関連:震度(揺れやすさ)、地盤、液状化、建物被害、火災、避難、その他、総合
当然のことながら、1つの自治体で上記のすべてのハザードマップを整備しているわけではなく、自治体の状況に応じて、必要な種類のハザードマップが整備されています。整備されているものが多いハザードマップ(100市区町村以上)は現時点(2021年5月)で洪水が1378市区町村、内水氾濫が367市区町村、ため池が320市区町村、高潮が153自治体、津波が611自治体、土砂災害が1442市区町村、火山が102自治体、震度が849市区町村、液状化が360市区町村、建物被害が445自治体となっています。ハザードマップの整備の状況は、トップページの「わがまちハザードマップ」の「地図で選ぶ」をクリックして、地図画面の左上の「災害種別から選択する」をクリックするとメニューが出てきますので、その中から「ハザードマップの公表状況をみる」あるいは「地震防災・危険度マップの公表状況をみる」をクリックすると確認することができます。
注意点としては震度(揺れやすさ)のマップは想定されている地震によるマップもありますが、自治体の直下にM7程度(M6.9)の震源を便宜的に置いて作成している場合も多いです。そして、その震度をベースに液状化マップや建物被害マップが作成されています。ですので、その場合は実際にそのような直下地震が起こる確率は極めて低いので、震度の大きさや被害の大きさそのものについては気にしすぎる必要はないと思います。一方で相対的な震度の違いに着目して、周辺よりも震度が大きめに評価されているのであれば揺れやすい地盤であるということは判断できます。地形的には、一般的に周辺よりも標高が低ければ揺れやすい地盤である可能性が高く、逆に高ければ揺れにくい地盤である可能性が高いのでそうした地形の状況と揺れやすさが対応しているのか確認してみるのもよいかと思います。