地理院地図は国土地理院が提供するウェブ地図です。国土地理院が整備してきた地形図や土地分類図をWeb上でシームレスにみることができ、様々な用途に使用することができます。やはり、標高の情報が充実しているので、地形を分かりやすく表現できるのがよいですね。一般的に地域において相対的に低いところは地盤が軟弱で揺れやすく、逆に高いところは地盤が堅固で揺れにくい傾向があります。地理院地図の色別標高図や陰影起伏図はそうした地形の特徴を一目で分かるようになっています。さらに色別標高図には自分で任意の閾値を設定して標高を色分けできる機能もあり、例えば周辺の河川からの標高分布を作成することで洪水の潜在的な危険性を判断できるようになっています。詳細な使い方についてはこちらを参照ください。
地理院地図で吾作が特に良いと思ったのは造成地の位置を把握できることです。造成地は丘陵地などの斜面を削って平地にするので、尾根部の削った領域が切土、谷部の盛った領域が盛土となります。その中で盛土部分や切土と盛土の境界部分(切盛境界)は、大きな地震やまとまった降雨により地盤変状が発生しやすく、リスクが大きいエリアになります。また、平地でも湿地帯のような地盤が悪いところは盛土して宅地を整備しています。そういったところは盛土の材質にもよりますが地震の強い揺れにより、液状化して地盤変状や家が傾斜するリスクがあります。平地で盛土しているところは地盤が悪い場所の目安にもなります。ですので、造成地の場所、その中の切土と盛土の範囲を知ることは自然災害リスクを把握することで非常に重要だと思います。
そうした切土や盛土の位置を地理院地図では表示してくれます。その方法は地理院地図を表示して左上にある地図ボタンをクリックすると、地図の種類のメニューが表示されますのでその中から「土地の成り立ち・土地利用」をクリックします。すると、様々な土地に関する地図のメニューが表示されますので、その中から「地形分類(ベクトルタイル提供実験)」をクリックします。「地形分類(自然地形)」と「地形分類(人工地形)」の2つが表示されますので、「地形分類(人工地形)」の方をクリックします。全国等の大縮尺で地図を表示している場合には、「地形分類(人工地形)」を表示できる地域を青色で示されます。そこで、見たい地域のところを縮尺500mまで拡大すると盛土をピンクで切土を青色で表示します。その場所でクリックするとその土地の成り立ちやその土地における一般的な自然災害リスクを表示してくれます。下に事例を示しました。
上記の例に限らす、地理院地図を有効に利用することで地域の潜在的な自然災害リスクを詳細に把握することができるので、非常にお薦めです。