1時間の気温下降が-19.6℃を記録した1998年4月21日の網走の状況について

時刻別気温

 1991年~2020年の30年間における毎正時の気温において、1時間の気温が最も下降したのは1998年4月21日18時の網走の-19.6℃でした。そこで、その時の気象の状況がどのようなものであったか調べてみることにしました。当日の釧路の1時~24時の主な気象の観測データを下表に示します。

表 1998年4月21日の網走の毎正時の気象の観測値

日付気温(℃)海面気圧(hPa)降水量(mm)湿度(%)風速(m/s)風向
19980421119.81008.2355.4南西
19980421219.91007.2355.1南南西
19980421315.61007.8452.8西北西
19980421419.61007.2356.1南西
19980421520.21006.9336.3南西
19980421620.81007.9337.0南西
19980421721.31008.6334.8南西
19980421822.21008.6345.8南西
19980421924.61007.7325.4南南西
199804211027.51006.6274.1南南西
199804211128.71005.2247.3南南西
199804211229.71004.8247.1南西
199804211330.81004.6206.3西南西
199804211431.31003.4185.5西南西
199804211531.61002.8185.0西
199804211630.91003.3189.1西
199804211730.01003.6195.7西南西
199804211810.41006.5675.4
19980421198.61008.6775.0南南東
199804212010.81008.3742.8南南東
19980421218.81009.4791.6北西
199804212212.31009.4703.2
199804212313.01010.1681.3東南東
199804212412.11010.8721.4西

 この表によると、17時の気温が30.0℃だったのが18時には10.4℃となり、1時間で-19.6℃下降しています。この間、気温の他に数値が大きく変化する項目は「湿度」と「風向」で湿度は19%から67%に上昇し、風向は西南西から北に大きく変わっています。この気温下降時の前後の時刻(15時と21時)の天気図を「100年天気図データベース」からダウンロードしました。それが下記の図となります。

アジア太平洋地上天気図 1998/4/18 15時(日本時間)
アジア太平洋地上天気図 1998/4/18 21時(日本時間)

図 1998年4月21日網走での気温下降時(18時)の前後の時刻の天気図(原典:気象庁「天気図」、加工:国立情報学研究所「デジタル台風」)

 日本の東の海上には太平洋高気圧、オホーツク海には発達した低気圧があって寒冷前線が北海道のすぐ北を東西にのびていて、北海道付近は南に高気圧、北に低気圧にはさまれ、西よりの風が吹きやすい状況となっています。そのため、網走付近はフェーン現象によりこの日の未明から4月としては異常に高温である20℃近い気温となっており、午後には30℃を超えて真夏日となっています。気象庁のこの日のコメントによると「北日本真夏日。道内の4月の真夏日は観測史上初。網走で31.9℃など管内官署22か所の内13か所で最高更新。東北地方太平洋側もフェーン,岩手県で大規模山林火災.福島32.2℃の暑さ。」とあるので4月としては異常な高温だったことが分かります。

 その気候が17時まで続いて、18時に空気が入れ替わって一気に30℃からほぼ10℃まで下がりました。21時の天気図からは網走付近において寒冷前線が通過したようにはみえませんが、寒冷前線が近づいて等圧線の方向が15時よりも南北方向に傾いているので、冷涼な空気が入ってきたのかもしれません。この時期18時の10℃でも網走では平年よりも高めであるので、異常すぎるほどの高温がもとに戻ったというのが急激な気温下降の要因だったといえます。

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