管区気象台、地方気象台56観測点の1991年1月1日から2020年12月31日までの時刻別(毎正時)の気温データを利用して、30年間における56観測点の1時間の気温差の大きさのランク別回数を算定してみました。具体的には毎正時の1時間の気温差が-5℃以下となる回数、-10℃以下となる回数、+5℃以上となる回数、+10℃以上となる回数をカウントしました。それが下表の結果となります。
表 30年間における気象台観測点の1時間の気温差ランク別回数(単位:回)
地点名 | -5℃以下 | -10℃以下 | +5℃以上 | +10℃以上 |
札幌 | 54 | 0 | 26 | 0 |
函館 | 8 | 0 | 28 | 0 |
旭川 | 71 | 0 | 181 | 0 |
室蘭 | 23 | 0 | 12 | 0 |
釧路 | 202 | 1 | 409 | 8 |
網走 | 321 | 15 | 190 | 5 |
稚内 | 28 | 0 | 20 | 0 |
青森 | 98 | 1 | 284 | 4 |
盛岡 | 53 | 0 | 38 | 0 |
仙台 | 57 | 0 | 62 | 0 |
秋田 | 36 | 0 | 64 | 0 |
山形 | 132 | 0 | 228 | 2 |
福島 | 77 | 0 | 114 | 0 |
水戸 | 155 | 0 | 231 | 0 |
宇都宮 | 172 | 1 | 43 | 0 |
前橋 | 166 | 2 | 57 | 0 |
熊谷 | 138 | 1 | 94 | 0 |
銚子 | 136 | 0 | 53 | 0 |
東京 | 89 | 0 | 35 | 1 |
横浜 | 80 | 1 | 57 | 1 |
新潟 | 57 | 1 | 26 | 0 |
富山 | 126 | 1 | 171 | 0 |
金沢 | 189 | 5 | 239 | 3 |
福井 | 110 | 0 | 39 | 0 |
甲府 | 91 | 5 | 115 | 0 |
長野 | 115 | 0 | 60 | 0 |
岐阜 | 72 | 2 | 3 | 0 |
静岡 | 17 | 0 | 103 | 0 |
名古屋 | 55 | 0 | 1 | 0 |
津 | 45 | 1 | 58 | 0 |
彦根 | 87 | 0 | 38 | 0 |
京都 | 120 | 0 | 1 | 0 |
大阪 | 62 | 0 | 8 | 0 |
神戸 | 41 | 0 | 2 | 0 |
奈良 | 139 | 3 | 35 | 0 |
和歌山 | 59 | 1 | 61 | 0 |
鳥取 | 105 | 0 | 178 | 1 |
松江 | 89 | 0 | 94 | 0 |
岡山 | 68 | 0 | 7 | 0 |
広島 | 22 | 0 | 11 | 0 |
下関 | 25 | 0 | 9 | 0 |
徳島 | 48 | 0 | 60 | 0 |
高松 | 49 | 1 | 43 | 0 |
松山 | 52 | 0 | 38 | 0 |
高知 | 15 | 0 | 29 | 0 |
福岡 | 46 | 0 | 4 | 0 |
佐賀 | 64 | 1 | 5 | 0 |
長崎 | 13 | 0 | 11 | 0 |
熊本 | 80 | 2 | 30 | 0 |
大分 | 44 | 0 | 101 | 0 |
宮崎 | 30 | 0 | 104 | 0 |
鹿児島 | 17 | 0 | 41 | 0 |
那覇 | 19 | 0 | 0 | 0 |
宮古島 | 20 | 0 | 0 | 0 |
石垣島 | 15 | 0 | 0 | 0 |
南大東 | 22 | 0 | 252 | 0 |
合計 | 4324 | 45 | 4203 | 25 |
56地点すべてで30年間に気温が1時間に-5℃以下となった回数は4324回、-10℃以下となった回数は45回、+5℃以上となった回数は4203回、+10℃以上となった回数は25回でした。1時間で10℃以上の気温差となりますと、気温上昇、気温下降ともに全国でも極めて稀な事象となります。1時間で-10℃以下の気温下降の場合、全国の回数の3分の1に相当する15回が網走で発生し、ダントツの1番でした。次いで、金沢および甲府が5回となっています。30年間で1回以上記録した地点は56地点中18地点でした。一方、1時間で+10℃以上の気温上昇の場合、30年間で釧路が最も多く8回、2番目が網走の5回、3番目が青森の4回となっています。30年間で1回以上記録した地点は56地点中8地点しかありませんでした。
1時間で5℃以上の温度差になると30年間に56地点で気温上昇、気温下降ともに4000回以上発生していますので、平均的には1地点あたり年間2~3回は発生する事象といえます。そうはいっても、地点ごとにみていきますと発生数が大きくばらついていますので地域の特徴があるといえます。気温下降、気温上昇関係なく30年間で1時間に5℃以上の温度差を記録した回数の分布が冒頭の図となります。
30年間に気温が1時間に-5℃以下となった回数が多い地点は
1位:網走 321回 2位:釧路 202回 3位:金沢 189回
逆に少ない地点は、
1位:函館 8回 2位:長崎 13回 3位:石垣島 15回
でした。
30年間に気温が1時間に+5℃以上となった回数が多い地点は
1位:釧路 409回 2位:青森 284回 3位:南大東 252回
逆に少ない地点は、
1位:那覇、宮古島、石垣島 0回 4位:名古屋、京都 1回
でした。
気温上昇と気温下降関係なく、30年間に1時間で5℃以上の気温差となった回数が多い地点は
1位:釧路 611回 2位:網走 511回 3位:金沢 428回
逆に少ない地点は、
1位:石垣島 15回 2位:那覇 19回 3位:宮古島 20回
でした。
釧路、網走のある道東の地点は地域性として1時間で気温差が大きくなる気象条件が多い傾向が見られます。逆に1時間で気温差が大きくなる気象条件が少ないのは暖かい海に囲まれた南西諸島の地点といえそうですが、30年間で1時間に+5℃以上となった回数が那覇、宮古島、石垣島の0回に対し、同じ南西諸島の南大東島は252回と全国でも3番目に多いのが不思議でした。これはなぜだろうと調べてみたら、Wikipediaの南大東島の記事の中で「盆地状の地形の影響のため冬の夜に晴れた際には放射冷却の影響が激しくなり、最低気温が10℃以下になることがある。」とありました。これが要因ですね。データを調べたところ確かに冬の午前中に1時間の気温上昇が大きいケースが見られました。
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