全国で1日の気温差が大きかった日

最高・最低気温

管区気象台及び地方気象台の56観測点の1991年1月1日~2020年12月31日の10958日間の日別の最高気温、最低気温のデータから、当該30年間における全期間で1日の気温差が大きかった日を調べてみました。56観測点の1日の気温差の平均値が当該30年間において高い順にTop3となった日とその値は下記の通りです。

1位:2013年3月10日 15.04℃、2位:2017年4月30日 14.62℃、3位:2004年3月10日 14.54℃

Top3は季節としては春の時期でした。1位の2013年3月10日の日本時間9時と15時のアジア太平洋地上天気図を100年天気図データベースから検索しました。それが以下の図です。

図 2013年3月10日における日本域地上天気図(左:9時、右:21時)

9時には北海道渡島半島付近に発達中の低気圧があって南東方向に温暖前線、南西方向に寒冷前線が延びていて本州付近はちょうど温暖前線と寒冷前線の間の暖域に位置し、南東の太平洋には高気圧があって南からの温暖な風が吹き込みやすい状況でした。そこにこの季節としては異常な暖気が関東地方を中心に入り込んだようです。しかし、21時には寒冷前線が本州を通過して、等圧線が南北方向に混んでおり、西高東低の冬型となり寒気が入りやすい状況となっています。これが全国にあたり1日の気温差が大きくなる要因となっていると思われます。

冒頭の図はこの日が1991年~2020年の30年間で一番気温差があった東京での1時から24時までの毎正時の気温と露点温度の推移のグラフであり、下表が毎正時の気温、露点温度、相対湿度、風速・風向、海面気圧の一覧表です。

表 2013年3月10日の東京での毎正時の気温、露点温度、相対湿度、風速・風向、海面気圧の一覧表

時刻気温(℃)露点温度(℃)相対湿度(%)風速(m/s)風向海面気圧(hPa)
1時12.08.1772.3北北東1009.4
2時11.57.8781.1北東1008.8
3時11.57.4762.0西北西1007.4
4時10.87.1781.5西1006.6
5時10.47.5820.8西南西1005.3
6時11.78.0782.51004.6
7時12.18.2771.2南南東1003.6
8時15.48.4634.31002.3
9時19.48.7505.0南南西1001.0
10時21.97.7403.4南南西1000.0
11時24.05.9315.7998.1
12時24.76.5319.5南南西996.8
13時24.87.5336.7南南西995.7
14時17.71.2336.3北西999.9
15時16.23.3425.7北北西1000.8
16時14.42.3446.8北西1002.1
17時13.3-1.8355.8北西1003.2
18時10.8-4.8337.3北北西1005.3
19時9.2-7.5307.0北北西1006.6
20時8.1-8.4307.3北西1006.8
21時7.2-9.6297.5北西1008.5
22時6.7-10.1297.7北北西1009.5
23時6.2-10.5296.8北北西1010.5
24時5.9-10.8296.1北北西1011.2

これによると朝から昼にかけて、南寄りの風が吹いて急激に気温が上昇し、13時には夏日に近い気温24.8℃を記録しますが、13時~14時の間に気圧の谷である寒冷前線が通過して北よりの風に風向が大きく変わりました。それにより乾いた寒冷な空気に急激に置き換わって、気温及び露点温度ともに時間とともに降下して24時には気温が5.9℃、露点温度が-10.8℃となり、この日の東京の1日の気温差(最高気温ー最低気温)は19.6℃を記録しています。したがって、春先にこのような気圧配置であれば、全国的に1日の気温差が大きい傾向にあるといえます。

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