観測点ごとの1日の最大気温差

最高・最低気温

管区気象台及び地方気象台の56観測点の1991年1月1日~2020年12月31日の10958日間の日別の最高気温、最低気温のデータから、当該30年間における全期間で1日の気温差が大きかった日を観測点ごとに調べてみました。観測点別に当該30年間で1日の最大気温差を記録した年月日、その値を下表に示します。

表 1991年~2020年の期間で観測点ごとに1日の最大気温差を記録した年月日とその値

地点名年月日気温差(℃)地点名年月日気温差(℃)
札幌  2019052519.2名古屋1996051718.9
函館  2019111417.3津    2013031020.3
旭川  2009052123.9彦根  2017043019.1
室蘭  2008050216.5京都  2013050921.6
釧路  2003011621.4大阪  2012042817.8
網走  2001041824.8神戸  2013031016.3
稚内  1994110718.2奈良  2010032023.5
青森  1992042421.9和歌山2013031018.0
盛岡  2014051123.4鳥取  2014041523.2
仙台  2003041720.4松江  2010032020.7
秋田  1998051620.9岡山  2017043018.6
山形  2004041824.3広島  1994120718.3
福島  2004042223.5下関  2010032015.7
水戸  2013031022.5徳島  2013031019.7
宇都宮2013031022.2高松  2010032019.8
前橋  2013031022.8松山  2010032019.8
熊谷  2013031022.4高知  1996051018.5
銚子  1993020616.6福岡  2012040217.3
東京  2013031019.6佐賀  2000052519.8
横浜  2013031018.3長崎  2005041716.4
新潟  2004041819.9熊本  2004042920.3
富山  2004041823.1大分  2010032022.0
金沢  2013041620.4宮崎  2011042620.3
福井  1996042921.3鹿児島1999051517.8
甲府  2014040821.9那覇  2010031211.9
長野  2013050924.7宮古島1995032511.6
岐阜  1996051719.6石垣島2016021412.0
静岡  2006021420.6南大東2010010516.3

記録した月に着目すると、最も多いのが3月と4月の18地点、次いで5月の12地点でした。逆に6月~10月は1地点も記録されていません。このことからも春に1日の気温差が大きくなるというのが国内では一般的のようです。当該30年間において56観測点を対象に1日の気温差が大きい順にTop3となった地点の年月日と気温差の値は下記の通りです。

1位:網走 2001年4月18日 24.8℃、2位:長野 2013年5月9日 24.7℃、3位:山形 2004年4月18日 24.3℃

いずれも1日の気温差が24℃を超えています。1位となった2001年4月18日の網走の1時から24時までの毎正時の気温と露点温度の推移のグラフが冒頭の図であり、下表が毎正時の気温、露点温度、相対湿度、風速・風向、海面気圧の一覧表です。

表 2001年4月18日の網走での毎正時の気温、露点温度、相対湿度、風速・風向、海面気圧の一覧表

時刻気温(℃)露点温度(℃)相対湿度(%)風速(m/s)風向海面気圧(hPa)
1時3.91.4842.11013.4
2時4.51.7821.6東南東1012.7
3時4.31.3811.3南南東1012.9
4時8.02.9702.9南南西1012.6
5時5.01.7790.81013.2
6時7.12.2712.0南西1013.1
7時13.11.4454.5南西1012.0
8時16.11.4373.5南西1011.5
9時16.62.2381.9東南東1011.3
10時21.01.3273.21010.4
11時24.3-1.5185.7南南西1009.6
12時25.30.0195.0南南西1008.7
13時25.9-1.0174.8南西1008.0
14時26.3-1.5165.4西南西1007.5
15時26.10.0185.2南南西1007.2
16時25.5-0.5186.1南南西1007.3
17時24.7-1.2184.7南南西1007.5
18時18.5-2.4242.5北西1008.5
19時18.0-1.3271.8北北西1009.3
20時16.70.0322.0南南東1010.2
21時18.6-3.5224.3南南西1010.5
22時17.8-3.6234.4南西1010.4
23時17.8-3.6236.0南南西1010.0
24時16.2-2.8274.1南南西1009.9

1時の気温が3.9℃であったのが主に南西~南南西の風が吹いて、朝から昼過ぎにかけて気温が急上昇となり14時には26.3℃を記録しています。一方で露点温度の方は朝から夜遅くにかけて全体的には徐々に低下しています。ですので、気温の急上昇に対し、露点温度が下がるため、相対湿度は昼過ぎには大きく低下し、14時には16%と網走・北見・紋別地方の乾燥注意報の基準である「実効湿度60%、最小湿度30%」のうち、最小湿度は大きく下回り異常に乾燥しています。

図  網走周辺の地形の状況

網走は南西方向に高い山岳地帯があることから、南西~南南西の風が吹いて「フェーン現象」が発生したと考えられます。網走は高緯度のオホーツク海に面していながら、たびたび「フェーン現象」により高温に見舞われ、北海道内の気象台7観測点の中では圧倒的に最高気温が35℃以上となる猛暑日を記録した日が多いです。1991年~2020年の30年間に猛暑日を網走では11日記録していますが、次いで多いのは札幌の4日です。道内で同じ海に面している函館、室蘭、釧路、稚内の4観測点は当該30年間で1日も猛暑日を記録していません。周囲の地形が気象に影響を与えている事例の1つです。

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