管区気象台及び地方気象台の56観測点の1991年1月1日~2020年12月31日の10958日間の日別の平均気温のデータを調査した結果、当該30年間において最高の気温を記録したのは1994年8月14日の富山の33.8℃でした。そこで、その日の状況がどのようであったのか詳細に調べてみました。具体的には、気象庁HPから1994年8月14日の富山地方気象台の時刻別の気温、露点温度、湿度、風速、風向の値をダウンロードしてみました。その結果が下表になります。気温と露点温度の時刻別の推移を示したのが冒頭のグラフになります。
表 1994年8月14日の富山地方気象台の時刻別の気温、露点温度、湿度、風速、風向の一覧
時刻 | 気温(℃) | 露点温度(℃) | 湿度(%) | 風速(m/s) | 風向 |
1時 | 31.0 | 19.4 | 50 | 6.9 | 南南東 |
2時 | 30.5 | 19.3 | 51 | 4.3 | 南 |
3時 | 30.3 | 19.3 | 52 | 4.4 | 南 |
4時 | 30.4 | 19.1 | 51 | 5.7 | 南南東 |
5時 | 30.3 | 19.2 | 52 | 6.6 | 南南東 |
6時 | 30.7 | 19.3 | 51 | 6.3 | 南南東 |
7時 | 31.9 | 19.7 | 49 | 5.1 | 南南東 |
8時 | 33.3 | 19.5 | 44 | 6.0 | 南 |
9時 | 34.5 | 19.1 | 40 | 8.4 | 南南東 |
10時 | 36.5 | 18.9 | 36 | 7.2 | 南 |
11時 | 37.3 | 18.6 | 34 | 8.8 | 南南西 |
12時 | 38.0 | 18.2 | 32 | 8.0 | 南南西 |
13時 | 38.6 | 18.2 | 31 | 8.4 | 南西 |
14時 | 39.4 | 18.4 | 30 | 6.7 | 南西 |
15時 | 39.0 | 17.9 | 29 | 7.4 | 南南西 |
16時 | 38.0 | 18.4 | 32 | 6.1 | 南西 |
17時 | 37.2 | 18.0 | 33 | 6.0 | 南西 |
18時 | 35.5 | 17.3 | 34 | 4.9 | 南西 |
19時 | 33.5 | 17.6 | 39 | 3.5 | 南南西 |
20時 | 32.1 | 18.1 | 43 | 3.3 | 南南西 |
21時 | 31.7 | 18.8 | 46 | 4.2 | 南 |
22時 | 31.1 | 19.1 | 49 | 5.5 | 南 |
23時 | 30.6 | 18.8 | 49 | 5.4 | 南 |
24時 | 30.0 | 19.0 | 52 | 5.6 | 南南西 |
時刻別における最高気温は14時の39.4℃、最低気温は24時の30.0℃でいずれの時刻も30℃以上と夜間でも高い気温を維持しています。着目すべきは露点温度が24時間を通して気温に対して低く、相対湿度の値も29~52%とかなり低いです。つまり、空気中に含まれる水分量が少なく、乾燥しているということです。最小湿度は29%ですから、実効湿度(数日前からの平均湿度を基に算定される)の値によっては乾燥注意報が発令されるレベルです。そして、風向は24時間一貫して南よりで日中強い時間帯で8~9m/sの風速が吹いていることから、これはもう、典型的なフェーン現象と言ってよいです。
この日の地上天気図の9時の天気図を100年天気図データベースからダウンロードしました。
日本列島は東に太平洋高気圧があり、西に台風があって、北に停滞前線が東西に延びています。ですので、ちょうど高気圧からの南風、台風からの南風が合流して、強い南風が吹きやすい状況になっています。太平洋側からの暖湿な南風が高度のある中部山岳地帯を超える際に雲や雨となって空気中の水分量が減少して、日本海側に吹き降りる際には気温が極めて高い乾燥した南風となるのが「フェーン現象」です。真夏の時期にこのような気圧配置になるとフェーン現象が起こり、1日を通して日本海側では気温が高くなりやすい傾向があるのでしょう。
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